『これからの本屋読本』をもうすぐ読み終わる。

これから本屋をはじめる人、現在本屋で試行錯誤している人に向けられた本なのだけど、思想的に共感するところが多い上に、かなり具体的なところまで書かれているので非常に参考になった。

ルヌガンガという本屋を立ち上げた方が、資金として1500万円貯めたと書かれていて、電撃が走る。まだ、100万円ほどしか貯まっていない。先は長い。貯金日記にもなりそうだ。

内沼さんはこのブログを始めるきっかけのひとつである『読書の日記』も編集されているし、とても影響を受けている気がしてきた。来年のこれからの本屋講座は受講したいな。

眠れなくなって物件をあさる。
なんとなく、東京R不動産に載っているような、普通の人は住まないような物件を借りるのがよい気がしている。北鎌倉面白い物件があって、いろいろ夢想する。
鎌倉、いいなあ鎌倉。

自然の中で子育てしたいという気持ちが湧いてきたけど、この物件をみて捏造された想いという気がしないでもない。
https://m.realkamakuraestate.jp/estate.php?n=4579

『七人のイヴ Ⅱ』を3割くらいまで読み進めた。

地球と宇宙に引き裂かれる親子の別れにやたらと感情移入していまう。
たぶん娘が生まれることが関係しているのだろうが、読んでいて動揺する瞬間がある。
とはいえウェットなだけの話ではない。破滅は淡々と進行していく。感情を殺さないと動けない。気を抜くと死ぬ。宇宙怖い。

仕事で使う資料として『紙ヒコーキで知る飛行の原理―身近に学ぶ航空力学』を読んでいる。

中高生くらい向けられた平易な文章で書かれているので、物理学を習ったことがない俺でも理解できて面白い。
そしておそらく宮崎駿アニメの影響なのだけど、昔の飛行機のデザインに惹かれて仕方がない。模型が欲しくなってくる。

本の中では航空史として飛行機の発展と戦争がからめて語られる。
史上初のドーバー海峡の横断飛行からわずか5年後の第一次世界大戦で戦闘機が使われたこと。飛行機が多く余ったことから黄金時代が訪れたこと。やはり宮崎駿や『風立ちぬ』を思い出した。

ラクーアの休憩室で読む。
ここは読書も仕事も捗りそうだ。
今度は丸一日いようと決めた。

『七人のイヴ Ⅰ』を読んでいる。

突然、月が突然7つに分裂する。
2年後にその欠片が降り注ぎ、地球は生命の住むことのできない火の海になることが判明する。
人類は種の保存をかけて宇宙ステーションへの移住計画をスタートするが、もちろん2年で全人類が移住できるはずもなく……というところから始まるSF小説。
実際にある技術しか使わない、とかエイリアンをださないとか、センス・オブ・ワンダーではなくリアリティに振り切ることを著者が自らに課している。
そのためカタストロフが起きて地球から逃げる、というSFでは珍しくない設定に生々しいリアリティがある。

天才科学者やキャラの濃い宇宙飛行士など登場人物も魅力的だし、淡々と描写されるカタストロフは怖いものみたさの好奇心を刺激するが、なにより本から離れて現実の地球の死を想う瞬間が面白い。
自分のこととか、これから生まれてくる娘のこととか、家族や友人のことを考える。自分が死ぬこと、周りの人が死んでいくことを考える。そして地球の滅亡を考える。
あらゆるものが隕石の爆風の中に消えたとして、あとになにも残らなかったら、そのすべて無駄だったということなのだろうか。
小説の中の人々はひとまず、人類を存続させること、「地球」でのあらゆることを遺そうと躍起になっている。
自分ならどんな風に生きるだろうと、読みながら繰り返し繰り返し考えている。

地球が終わる、ということは絵空事でなくありえる。

福井へ向かう道中、東京駅で『未必のマクベス』を買って読み始める。

電車や新幹線の長距離移動が好きだ。飛行機も嫌いじゃない。
じっくりと本が読めるのが嬉しい。
旅行の楽しみの半分くらいはこれだ、という気すらする。

福井へは友人らと仕事と趣味半々、くらいの用事でいく。
のんびりした旅だ。
隣座ったEさんが新幹線でビールを頼んだので、つられて頼む。
小さく乾杯をして飲む。やたらとフルーティな金沢の地ビール。美味い。
それからEさんはNetflixへ、こちらは本に戻る。幸せだなあと思う。

内容をよく知らないまま買ったのだけれど『未必のマクベス』はサラリーマン小説だった。
飛行機のトラブルで偶然訪れたマカオで、娼婦に「あなたは、王として旅を続けなくてはならない」と告げられるという冒頭から『マクベス』になぞらえて話が展開していく、という魅力的な滑り出し。
アジアの雰囲気と呪術めいた演出に胸を踊らせながら読みすすめるが、しばらくは大きく物語が進まない。

しかしあるとき、唐突にこの物語の目的が明かされる。
その手つきが素晴らしく一気に引き込まれる。

と、いいところで福井駅に着く。
福井は敬愛する舞城王太郎の出身地で多くの作品で舞台にもなっているが、聖地巡礼をする時間はなさそうなのが残念だ。