今日も朝以来Uに会っていません。

自分の娘にこんなに長いこと会えないなんて、なにか日本の社会は間違っている気がします。

家で仕事がしたいです。でもそうしたら手につかないかな。

Uに会えないと、トンネルの落盤事故で閉じ込められて徐々に酸素がなくなり、もうU会えない、というこわい想像をしてしまいます。

Uが産まれたタイミングで生命保険に入ったので、その状況になったらUに生命保険が入る、生命保険が入る……と念じようと決めています。なんとなく未練が軽減されそうです。

今日Uはなかなかウンチが出なくて、機嫌が悪かったそうです。

ところで、奥さんはUの排便タイミングを「ウンチ妖精さんがくる/こない」で表現します。

だから、今日はウンチ妖精さんが来ていないそうです。

妊娠期に友人のM君にもらった「ちっちゃいさん」という絵本の影響なのですが、とても気に入っていて実生活にも影響がでているような気がします。

今朝はUがBCGと4種混合の注射を受けに行きました。

わりと時間に自由のきく仕事なので、予防接種には俺もついていくようにしています。

かかりつけの先生の注射が上手だからなのか、Uは注射を打ってから数秒後に「ふわ〜ん」と小さく泣きますが、すぐにケロッとして、診察室を興味深そうに眺めます。

その様子が可愛いので、今日も楽しみにしていたのですが、今日は注射の後に処置があるので一人しか入れないので、待合室で待っていました。

BCC、いわゆるハンコ注射と言われる注射器がどんな形状なのか、実物をみれるのを楽しみにしていたので少しだけ残念でした。

待っていると、大泣きしている声が聞こえたので、さすがのUもハンコ注射の前には敗れたか、と思ったのですが、どうやらそれは別の子の泣き声だったらしく、Uはハンコ注射でも、一応便宜上「ふわ〜ん」とは言うものの、そんなに泣かずにあたりをキョロキョロ見回していたそうです。

大泣きしていた子も注射が痛くて泣いていたのではなく、待っている間にお腹がすいて泣いていただけのようで、やはり、かりつけの先生の注射の腕が素晴らしいのでは、という気がしています。

仕事が忙しく、終電で帰宅しました。

だからUとは朝お風呂を入れてから会っていません。

妻からUが初めてジャガイモを食べたという連絡がきました。

「バナナみたいにがっつかないけど、ゆっくり味わって完食したよ」とのことでした。

Uが初めて仰向けからうつ伏せに寝返りをうちました。

正確には、以前からうっていたのかもしれませんが、初めてその光景を目にしました。

Uはうつ伏せが嫌いで、うつ伏せにしてもすぐコロンと仰向けになるのですが、自らうつ伏せにはなることはなかったので感動しました。

今日は雛祭りですが、自分が男だからなのか雛祭りというイベントにまったく関心がありません。

雛人形が10万円以上するのにも驚かされました。置物にそんなにお金を払うなら、もっと別な物にお金を使ったほうがいいのではないか、ウチは裕福でもないのだし、と妻に提案したら怒られました。母も、妻の母も雛人形はどうするのかと気にしています。

しかし、Uはまだ雛人形がなんたるかも分からないワケだし……などと思うのですが、まあ赤ん坊にしてあげることなんて、ほとんど赤ん坊本人にとっては訳の分からぬ行為だよなあと思い直しました。とはいえ、Uに「女の子」を押し付けるのは、なんだかやっぱり気がひけるのでした。

Uはよくミルクを吐きます。

赤ちゃんというのはおしなべてそういうものかと思っていたのですが、他の子の話をきくと、どうやら全然吐かない子もいるそうです。

吐いた時、布団が汚れないようにとタオルを敷いておくのですが、例の背ばいでタオルの外側までいって吐き、布団や畳が汚れます。まるで我々が困るところで吐こうとしているかのようです。

吐いた後は、すっきりするのでしょうか、大抵笑顔です。よかったね!という気持ちになります。

最近は少しずつ吐く頻度が減ってきましたが、今日は妻の胸の中で吐き、服をぐちゃぐちゃにしました。

それから、今日は新居に置くソファをみにいくため、家族で遠出をしました。

無印良品のソファベンチというソファを買うつもりでいます。成田空港のロビーでも使われているソファで、硬い部分がないので、Uが転んで頭を打っても安心です。青いカバーをつける予定です。

今日はとても忙しい1日で、Uとほとんど一緒にいれませんでした。

俺は仕事の他にラップユニット(バンドのようなものです)のマネージャーをやっているのですが、今日は夜にそのラップユニットのライブがありました。

そんな中、妻からUの動画が送られてきました。(仕事をしている時、妻はよくiPhoneで撮ったUの動画を送ってくれます)

動画の中でUは「パパ」と言っていました。

「だーだ」ではなく「パパ」です!!

正確には「パパ、パ、パーパ」とパを繰り返しています。

俺は最近赤ちゃんに関する脳科学の本を数冊読んでいて、この時期の「パパ」は父親のことを呼んでいるのではなく、発話の練習をしているだけ、ということを知っています。

意味がある言葉を喋るようになるのはもっと先なのだそうです。

しかし、例えそれを知っていたとて自分を呼ばれているような気がするし、とてもとても嬉しいものです。

Uは最近「だーだ」と喋るようになりました。

繰り返し「だーだ、だーだ」とニコニコ笑いながら話しています。

俺はこれはをだーだ→dad→英語でパパの意味→俺を呼んでいる、と解釈して嬉しくなっています。

なぜUが突然英語を話し出したのかは謎ですが。

奥さんはママ、と解釈しているようです。

とにかく、なにか語りかけるように「だーだ、だーだ」と繰り返しています。

部屋が寒くってエアコンをつけたまま寝るのですが、乾燥して喉がカラカラになって目を覚まします。

俺ですらこんなに喉が乾くのだから、身体の小さいUはもっと喉が乾くだろう、と心配していたら奥さんが「喉が乾くと私をトントンと2回叩いて横向きになる」と教えてくれました。最近、添い乳という、寝転がりながら授乳できるやり方を覚えたので、横向きになるとおっぱいが飲めることを理解したようです。一晩で2回くらい起こされるとのこと。

奥さんと2人で「賢くなった」としみじみしてしまいました。

とはいえ、乾燥はやっぱり問題です。二重窓の家に住むと暖房をつけなくても暖かいらしいので、いつか二重窓の家に住みたいと思っています。その頃にはUは大きくなっているかな。

我々は今ダブルサイズの大きな布団に、Uを真ん中にして川の字で寝ているのですが、Uは時折、左右交互に首を振って、我々が横にいるかどうかを確認します。しばらく首振りをした後で、安心したように眠りにつきます。

朝起きるとUが横で笑っていて幸せです。

最近はUが俺より先起きて、背ばいで近づいてきて、顔を引っ掻いたり叩いたり、号泣したりして起こしてくれます。

不規則な仕事をしているので、今まではお昼前に起きて、昼過ぎに仕事に行くような日もありましたが、最近は午前中に会社にいけるのでいい感じです。

朝、Uをお風呂に入れるのは俺の仕事で、生後1ヶ月を過ぎてUがこの家にやってきてから毎朝一緒に入っています。

まず、俺がお風呂につかり、温度計で湯船の温度を計ります。

温度が40度から42度であれば(大抵その間におさまっています)「どうぞー!」と声をかけます。

すると、奥さんがUを丸裸にして風呂場まで連れてきます。毎日入っているにも関わらず、風呂につかるまでUは不審そうというか、訝しげ表情をしています。しかし、一度お風呂につかると機嫌がいいです。風呂好きみたいですね。特に、奥さんがお風呂に一緒にいるとニコニコ笑って喜んでいます。

お風呂だけでなく、様々な場面で俺よりも奥さんといる方が安心するのだな、というの感じます。長く一緒にいるのだから仕方ありませんね。

最近は、奥さんに抱っこされながら、俺を観察するのが一番好きみたいです。

今日はその後ちょっとした用事があって3人で外出して、俺はそのまま会社に行きました。

仕事から帰ると、ちょうど目が覚めたところで、しばらく遊んだ後松谷みよ子さんの『いないないばあ』という絵本を読み聞かせました。

今日は絵本よりも読んでいる俺の方に興味が向いているようでした。

昼飯を食べながら「納屋を焼く」を読む。

『蛍・納屋を焼く・その他の短編』という短編集に入っている、村上春樹の短編だ。

一昨日観た映画、イ・チャンドンの『バーニング 劇場版』の原作なのだ。

映画がすごく良かったのだけど、原作も負けず劣らず素晴らしかった。

とはいえ、映画を観ていなかったら、その語りの巧みさ故に、ちょっとしたホラーだなあなどと思うだけで読み飛ばしていたかもしれない。

小説や漫画など、別のジャンルの作品を映像化するのは、少なからず批評的な行為だと思う。

批評的な行為、というのはその作品をどう読んだか、どういう作品だと思うのかを表明することに近いということだ。そして、優れた批評は作品の新たな見方や可能性を教えてくれる。

この作品でいうと「資本主義の中で自由に生きるには?」という今感心があるテーマについても考えられそうなモチーフが散りばめられていることが分かった。

『バーニング 劇場版』は映画としても素晴らしかったが、小説の隠された(というか、鈍感な俺には気づけない)テーマを教えてくれた。理想的な映像化で豊かな経験をできたと思った。