くまざわ書店取手店に行く。

お盆に帰れなかったので少し遅れて実家の取手に帰ることにしたのだ。
両親が会いたがってくれている、といのもあるけれど、急に夏の茨城の空気を吸いたくなった。
茨城の夏は東京の夏とぜんぜん違う。
なんというか、東京より濃度が少しだけ濃い。

駅をでた瞬間夏の夕方気配に包まれて、これだなあと思う。
これより薄くても濃くてもだめで、例えば先日いった福井だと濃すぎて、観光という気持ちになる。
取手駅の駅前は一応ビルが立ち並んでいるのに、なにが違うのだろう、と思いながら子供の頃の夏休みの「まだ遊べる、まだ遊べる」という感覚が湧き上がってくるのを感じていた。

さて、このくまざわ書店は我が青春時代の文化の象徴だった。
ボックスヒルという取手駅直結の商業施設に組み込まれているのだけど、取手駅から常総線に乗り換えていた高校時代にはほとんど毎日通っていた。
中規模書店ながら海外文学や思想書などもしっかり取り揃えている。

小学生が神様だとかいうスピリチュアルっぽい本が売上一位とディスプレイされていてげんなりするが、新刊棚をみて回ると、やはりいい書店だなと思う。
各ジャンルの話題書がコンパクトに並んでいるのだけど、例えば『予測不可能性、あるいは計算の魔――あるいは、時の形象をめぐる瞑想』のような、自分の興味と重なる本がピンポイントで面陳されている。日本文学だと『大江健三郎全集』(セブンティーンの二部が読みたいが高い!!)や『君の話』などなど固い本から気になっているエンタメまで、海外文学も限られたスペースの中に『戦時の音楽』や『リンカーンとさまよえる霊魂たち』がしっかりと置いてある。
取手駅の周辺にこういった本を買っている人がいるからこういう棚が成り立つのもあるとは思うが、書店員や書店本部の努力もあるのだろう。
あなた達のおかげで今の自分がありますと感謝したい。どうかこういう棚作りを守って欲しい。