五反田団(劇団)の前田司郎による、高校演劇青春小説である。
上巻で2回、下巻で3回ほど泣いた。
泣くだけじゃない、声を上げて笑えるシーンも多い。
自分がなにをしたいのか、どうすればいいか分からない、つまり「ボンクラ」の男子高校生、太陽が主人公。
太陽には面白いものを作れるのではないか、という自信のようなものがある。
そして実際、どうすれば面白くなるのかが、なんとなくわかる。これを才能と呼ぶのだろう。
そんな太陽の周りに集まってくるボンクラな友人達が、次第に高校演劇にのめり込んでいく。
なんとなく楽しくやれればいいと思っていた彼らが「面白いものを作りたい」という気持ちに目覚めていく。
登場人物全員が愛おしい。
群像劇だからしようがないのだけど、スロースターターなのが本当にもったいない。
120ページあたりで太陽たちボンクラチームがなぜかレクリエーションで小芝居をやることになるのだけど、そこからどんどん面白くなっていくので、読んでみたいと思った人はそこまではなんとか読んでみて欲しい。
今、高校演劇やりたい、という気持ちでいっぱいだ。
高校生でないことが悔やまれる。